問1 児童福祉法
次の文は、「児童福祉法」第2条の一部である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の( A )の程度に応じて、その意見が尊重され、その( B )が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
A | B | |
---|---|---|
1 | 能力 | 幸福 |
2 | 能力 | 最善の利益 |
3 | 年齢及び発達 | 幸福 |
4 | 年齢及び発達 | 幸福 |
5 | 成熟 | 最善の利益 |
正解は…3
児童福祉法とは
児童福祉法は、1947(昭和22)年に制定されました。全ての子どもを対象にしており、保護者とともに国、地方自治体が責任をもって子どもの育ちを保障することをうたっています。
問題文は、児童福祉法第2条の一節です。
問2 重要人物
次のうち、人物と関連の深い事項の組み合わせとして適切な組み合わせを一つ選びなさい。
- アダムズ(Addams, J.) ――― ハル・ハウス
- バンク=ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.E.) ― ノーマライゼーション
- コルチャック(Korczak, J.) ――― 『児童の世紀』
- ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.) ――― 『社会保険および関連サービス』
1 | A | B |
---|---|---|
2 | A | C |
3 | B | C |
4 | B | D |
5 | C | D |
正解は…1
ハル・ハウス
「社会福祉の母」と呼ばれるジェーン・アダムスが、1889年にシカゴに設立したセツルメントハウスです。ジェーン・アダムスは、ハルハウスを拠点にして平和運動、市民運動を展開し、のちに米国人女性初のノーベル平和賞を受賞しています。
よって、Aは○です。
ノーマライゼーション
ノーマライゼーションとは、「障害の有無にかかわらず、一人一人が社会の一員として生活することができる社会を目指す」考え方です。
1950年代に北欧諸国から始まった社会福祉をめぐる社会理念の一つです。デンマークのニルス・エリク・バンク=ミケルセンにより、初めて提唱されました。
よって、Bは○です。
ヤヌシュ・コルチャック
1989(平成元)年に国連で採択された「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」に大きな影響を与えた人物です。
孤児院の院長・医師・教育者として、子どもには人としての権利があると主張していました。
よって、Cは×です。
『児童の世紀』
スウェーデンの社会思想家、教育学者、女性運動家であるエレン・ケイにより、1990年に刊行されました。
『児童の世紀』の中で、エレン・ケイは「子どもは大人に比べて未熟であり、育てるべき存在、守るべき存在である」と主張しています。
ペスタロッチ
スイスの教育実践家で、孤児や貧民の子の教育に従事しました。
ペスタロッチの実践は、主に初等教育段階のものでしたが、それを幼児教育へと応用、展開したのはフレーベルです。
彼らが近代教育の源流を生み出したと言えます。
『社会保険および関連サービス』
経済学者ヘンリー・ベバリッジが作成したイギリスの社会保障制度に関する報告書のことです。『ベバリッジ報告』とも呼ばれています。
この中でベバリッジは、社会生活を脅かす5つの巨悪として「無知・貧困・怠惰・疾病・不潔」をあげています。
1946年に国民保険サービス法が制定され「ゆりかごから墓場まで」とイギリスの社会保障の体系を示しました。
よって、Dは×です。
問3 放課後児童対策
次の文のうち、放課後児童対策に関する記述として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 「放課後児童健全育成事業」とは、小学校に就学している児童であって、保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。
- 2014(平成 26)年に、文部科学省と厚生労働省が共同で「放課後子ども総合プラン」を策定した。
- 「新・放課後子ども総合プラン」では、放課後児童クラブと保育所を一体的に、または連携して実施することを目指している。
A | B | C | |
---|---|---|---|
1 | ○ | ○ | ○ |
2 | ○ | ○ | × |
3 | ○ | × | ○ |
4 | × | ○ | × |
5 | × | × | ○ |
正解は…2
放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)
小学校に就学している児童で、保護者が労働等で昼間家庭にいない場合に授業終了後、適切な遊びや生活の場を与えて健全な育成を図るものです。実施主体は、市町村・社会福祉法人などです。
児童福祉法第6条の3第2項に定められています。
よって、Aは○です。
放課後子ども総合プラン
文部科学省の「放課後子ども教室推進事業」と、厚生労働省の「放課後児童健全育成事業」の一体的または連携による事業として実施されています。
放課後や週末の子どもたちの適切な遊びや生活の場を確保したり、学習やスポーツ・文化活動・地域住民との交流を実施したりします。
よって、Bは○
新・放課後子ども総合プラン
2018(平成30)年に策定された「新・放課後子ども総合プラン」では、以下の目標を掲げています。
- 放課後児童クラブの待機児童解消。2023年度末までに、約30万人の受け皿を整備
- 「放課後子ども教室推進事業」と「放課後児童健全育成事業」の一体化もしくは連携を促進
- 学校施設の徹底活用
- 子どもの自主性、社会性等のより一層の工場を図る。
よって、Cは×です。
問4 子どもの人権に関する歴史
次のA~Dは、子どもの人権に関しての歴史的経緯に関する記述である。これらを年代の古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 「児童福祉法」の制定
- 「児童の権利に関するジュネーブ宣言」の採択
- 日本が「児童の権利に関する条約」を批准
- 「児童憲章」の制定
1 | A→B→D→C |
---|---|
2 | A→B→D→C |
3 | B→A→D→C |
4 | B→C→A→D |
5 | B→D→A→C |
正解は…3
児童福祉法
児童福祉法は、児童の健全育成と福祉の増進を図るために、1947年に制定されました。
同法第1条では、
全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する
とされています。
「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」
「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」は、1924年に国際連盟で採択されました。
同宣言の中では、
すべての国の男女は、人類が児童に対して最善のものを与えるべき義務を負うことを認め、人種、国籍または信条に関する一切の事由に関わりなくすべての児童に、以下の諸事項を保障すべきことを宜言し、かつ自己の義務として受諾する
とされ、子どもの適切な保護がうたわれています。
「児童の権利に関する条約」
国連での採択は1989年ですが、日本が批准したのは1994年です。
第3条「子どもの最善の利益の追求」、第12条「意見を表明する権利」、第13条「表現の自由」など、初めて子どもの能動的権利を認めた内容になっています。
条約の全文は、外務省のサイトで読むことができます。
「児童憲章」
1951年に制定されました。
以下の「前文」は有名ですね。
児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、よい環境のなかで育てられる。
年代の古い順に並べると
B.「児童の権利に関するジュネーブ宣言」の採択(1924年)
↓
A.「児童福祉法」の制定(1947年)
↓
D.「児童憲章」の制定(1951年)
↓
C.日本が「児童の権利に関する条約」に批准(1994年)
となるので、正解は3です。
問5 児童の権利に関する条約
次の文は、「児童の権利に関する条約」第3条の一部である。( )にあてはまる記述として正しいものを一つ選びなさい。
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、( )。
- 保護者の意向が主として考慮されるものとする
- 親権が主として考慮されるものとする
- 児童の意向が主として考慮されるものとする
- 児童の最善の利益が主として考慮されるものとする
- 父母の同意を得るものとする
正解は…4
児童の権利に関する条約
第3条は、「子どもの最善の利益の追求」をうたっています。問題文になっている「第3条の1」は以下のとおりです。
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
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