Lesson1−2 保育所保育の基本【保育原理】
こんにちは。スマイル工房の髙城です。
今回は、保育に必要な基礎知識の学習になります。基本姿勢や環境、乳幼児の発達など保育をする上であ必要不可欠な内容なので、しっかりと覚えましょう。
保育の環境
人的環境
子どもを取り巻く人的環境とは、家族や親戚、友達、保育士など、子どもたちとかかわるすべての人のことを言います。
その中でも保育士は、家族の次に大きな人的環境と言えます。
保育園でほぼ毎日子どもたちとかかわるということは、それだけ大きな影響を与えることになりますね。
そこで保育士のあり方としては、次のようなことが求められます。
・愛情と思いやりがある。
・健康である。
・保育の専門職としての知識や技能をもつ。
・自己啓発の意欲がある。
・子どもや保護者から信頼される。
「児童福祉施設の設置及び運営に関する基準」第33条により、保育所には、保育士、嘱託医、調理員を置かなければならないと定められています。
子どもに対する保育士の数の目安も定められています。
【保育士の数の目安】
・乳児…乳児おおむね3人につき1人以上
・満1歳以上満3歳未満児…幼児おおむね6人につき1人以上
・満3歳以上満4歳未満児…幼児おおむね20人につき1人以上
・満4歳以上…幼児おおむね30人につき1人以上
この基準でいくと、年少クラスの20人を1人担任で受け持つという場合があるんですよね。なかなかに厳しい基準ですね。
生活のペースが一人一人違う子どもたち20人を1人の保育士では、対応するのが難しいですね。その子どもたちの気持ちを受け止め、よりよい保育をしていくためには、この基準では難しいと言わざるを得ません。これは、あくまでも「子どもを預かる」ための基準であって、「適当な保育を行う」ためにはこれ以上の人数が必要不可欠だと思います。
物的環境
保育所が備えるべき施設については、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第32条に規定されています。その中には、調理に関する設備や建築に使用する材料まで、詳しく規定されています。すべて覚えるのは厳しいので、子どもを入所させるために必要な設備のみ表にまとめてみました。
時間のある時に、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に目を通しておくのは大事かもしれません。
乳幼児の発達特性
乳幼児期は、身体だけでなく心も大きく発達する時期です。発達特性を理解していることは、保育をする上でも、保護者対応をする場合にもとても大事です。しっかり理解しておきましょう。
身体の発達
【身長】 |
・生後1年で出生時の約1.5倍 |
【体重】 |
・生後3ヶ月で出生時の約2倍 |
運動能力の発達
子どもが歩き出すまでには、いくつかの段階があります。その段階を踏まえていくことで、しっかりした歩行(ひとり歩き)ができるようになります。
・首がすわる…生後4〜5ヶ月ごろ
・ねがえりをする…生後6〜7ヶ月ごろ
・ひとりすわり…生後9〜10ヶ月ごろ
・はいはい…生後9〜10ヶ月ごろ
・つかまり立ち…生後11〜12ヶ月ごろ
・ひとり歩き…生後1年3〜4ヶ月ごろ
この後、3〜4歳で歩行が完成し、運動能力が著しく発達します。小学校就学の頃には、身のこなしも発達し、基本的な全身動作が一応できるようになります。
ただし、運動能力の発達については、個人差が大きいです。その子に運動の機会が与えられていたか否かも大きく影響しますね。
子どもの基本的欲求
欲求は、大きく分けると「生理的欲求」と「社会的欲求」の2つがあります。
【生理的欲求】
飲食、排泄、睡眠などの、生命を維持するために必要な欲求。
【社会的欲求】
自分と周りの人とのかかわりの中で生じる欲求。成長とともに、段階的に現れる。
・愛情の欲求…人から愛されたい、人を愛したいという欲求。
・所属の欲求…一つのグループに属したいという欲求。家族の中の一員、クラスの一員、友達グループの一員など
・承認の欲求…自分の存在や、自分の行いを認めてもらいたいという欲求。
・独立の欲求…人の手を借りずに、自分自身でやりたいという欲求(自立への欲求)。
・成就の欲求…一つのことを成し遂げたいという欲求
発達過程
身体の発達や心の発達、社会性の発達などの詳細は、「保育所保育指針」に掲載されています。何度も目を通しておきましょう。
毎年、保育所保育指針については必ず出題されているようです。保育所保育指針解説も、併せて読んでおきましょう。
保育士の専門性とは
保育士とは
現在、「保育士」とは名称独占の国家資格です。
2001年(平成13年)11月の「児童福祉法」改正により、それまでの任用資格から改められ、2003年(平成15年)11月から施行されています。
「名称独占」とは、「その資格を有する人だけが、その名称を名乗ることができる」ということです。
保育士の場合は、保育士の業務つまり「保育」を行うことは、保育士資格を持っていなくてもできます。罰則もありません。けれど、「保育士です」と名乗ることができるのは、保育士資格を持っている人に限られるということですね。
僕も、幼稚園教員免許を持っているので、幼稚園で「保育」をしていました。しかし、保育士資格は持っていないので「保育士」を名乗ることはできなかったわけです。
名称独占の他に、業務独占などもあります。こちらのサイトにわかりやすい解説が載っています。保育士試験とは直接関係ありませんが、保育士資格について正しい知識を身に付けることも大切かなと思います。
保育士の倫理観
保育士は、子どもやその保護者に大きな影響を与えます。「全国保育士会倫理綱領」の前文では、保育士の倫理観について次のように述べられています。
すべての子どもは、豊かな愛情のなかで心身ともに健やかに育てられ、自ら伸びていく無限の可能性を持っています。
私たちは、子どもが現在(いま)を幸せに生活し、未来(あす)を生きる力を育てる保育の仕事に誇りと責任をもって、自らの人間性と専門性を向上に努め、一人ひとりの子どもを心から尊重し、次のことを行います。
私たちは、子どもの育ちを支えます。
私たちは、保護者の子育てを支えます。
私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります。
資質向上
保育の専門職として、保育士自身の自己研鑽も大切です。「保育所保育指針」第5章にも述べられているとおり、園内・園外の研修に参加し、保育に必要な知識や技能の習得、維持及び向上に努めていく必要があります。
まとめ
乳幼児に対する保育士の人数は、試験のためだけでなく、実際に保育士として働く時に大事な知識になると思います。子どもたちの安全確保のために、しっかりと覚えておきましょう!
また「保育所保育指針」には、発達段階に応じたねらいや内容なども載っています。目を通しておくと、各発達段階の子どもの姿が思い浮かびやすくなると思います。具体的な姿がイメージできた方が、記憶とも結びつきやすいので、空いた時間を活用して読んでおくといいですね。
第2回目はこれで終了です。おつかれさまでした。また次回!
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