こんにちは。スマイル工房の髙城です。
こどもたちは、成長していく過程で様々な経験を積み重ねていきます。
楽しいこと、嬉しいこと、感動すること、いろいろな感情をもつことで、豊かな人生を歩むことができます。
困ったり、悩んだり、後悔したり、マイナスに思える経験も、人として大きく成長するためには不可欠な要素です。
しかし、そのマイナスな感情がその子にとって良い経験になるかどうかは、
「自己肯定感」が育っているかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
今回は、「自己肯定感」について、僕の考えを書いてみたいと思います。
「自己肯定感」ってなんだろう?
自己肯定感とは
自分のあり方を積極的に評価できる感情。自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。自己否定の感情と対をなす感情とされる。(Weblio辞書より)
つまり、「自分は大切な存在である」と認識すること。
もっとシンプルに言うと、「自分のことを好きだと言えること」だと思います。
自己肯定感を土台にして、こどもは成長していく
10年以上前に、「子育てハッピーアドバイス」の著者であり、心療内科医の明橋大二先生の講演をお聞きしたことがあります。保育者向けの講演だったので、周りはみんな幼稚園や保育園の先生ばかり。
その講演がとてもおもしろく、中身の濃い講演だったので、一緒に聞きに行った先生と「お母さん、お父さんにも聞かせてあげたいね」という話をしたのを覚えています。
講演の中では、『成長していく過程でいちばんの土台になるのは「自己肯定感」で、その土台の上に生活習慣や学習が積み重なっていく』
という内容をベースに、
- ・「できた」ことではなく、「できていること」を褒めましょう
- ・「当たり前にできていること」が素晴らしいこと
- ・自己肯定感という土台が大きいほど、その上に積み重なるものも安定する
このような内容だったと記憶しています。
つまり、幼児期に一番大切なのは自己肯定感を伸ばすことで、自己肯定感がしっかり育っていれば、小学校以降でしっかり学力もついていくということでした。
自分を受け入れてもらえる安心感年少組の担任をしていた時に、こんなことがありました。
5月のゴールデンウィーク明け、それまでは何事もなく登園していた男の子(Aくん)が、泣きながら登園してきました。お母さんの話によると、前日から「幼稚園に行きたくない」と言っていたとのことです。それまでの園での様子から、気持ちを切り替えるきっかけがあれば大丈夫だろうと考え、ひとまずお母さんから抱っこのままAくんをあずかりました。
入園式以降、身支度は一人でどんどんやっていた子だったので「今日は、先生がお支度をしてあげるね」と伝え、Aくんを抱っこしたままかばんの支度などをしました。
身支度が終わった後、塗り絵や小麦粉粘土、砂場などの遊びに誘ってみましたが、どれも「やらない」とのこと。
「じゃあ、やりたい遊びが見つかるまで抱っこしてるから、やりたいことが見つかったら教えてね」と伝え、そのまま抱っこをしていることにしました。
5分ぐらい抱っこしていると、Aくんが突然「ねんどやりたい」と言って、自分から抱っこをやめて降りました。その後、小麦粉粘土を始めたAくんは、ニコニコ笑って遊び、降園まで泣くことはありませんでした。
初めての集団生活は、こどもたちにとって大きな環境の変化になります。
Aくんのように、泣きたい、抱っこしてもらいたいという欲求は、誰もがもっていると言ってもいいと思います。
それらを受け入れてもらえることで、「自分の気持ちを出していいんだ」という安心感をもつことができ、「自分という存在を認めてもらえている」という自己肯定感を育むことにつながるのだと思います。
最後に
「自己肯定感を育む」と聞くと、素晴らしい育児や保育をしなければいけないとプレッシャーに思う方がいるかもしれません。
けれど、僕はその逆だと思っています。
素晴らしいことを一回やるよりも、ほんのちょっとしたことを毎日続けていくことの方が大事です。こどもの、日々の何気ない行動を褒めていく。
例えば、
- ・朝、自分で起きたことを褒める。
- ・「いただきます」を言えたことを褒める。
- ・手洗い、うがいをしたことを褒める。
- ・幼稚園や学校の話をしてくれて嬉しかったよと伝える。
など、普段の何気ない日常でも、ちょっと意識をするだけで、どんどん褒めることがでてきませんか?
「できた」ことに目を向けるのではなく、「できていること」に目を向けることで、こどもたちは自分を認めてもらえたと感じ、自信をもつことができます。
その小さな積み重ねが、少しずつ、けれど確実に自己肯定感を育むことにつながっていくのだと思います。
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