『すてきな三にんぐみ』って、どんな絵本?
黒い帽子に黒マントの三人組が主人公の物語です。道行く人を脅して、お金や宝石を奪い取っていました。
ある日、いつものように馬車を止めて中を見ると、みなしごの女の子が一人
この女の子との出会いを通して、どろぼうだった三人組が「すてきな三人組」に変わっていきます。
まさかのどんでん返し!最後は感動の涙です!
実はこの絵本、僕が幼稚園教諭として初めて読み聞かせをした絵本なんです。
どうしてこの絵本を選んだというと、当時担任していたクラスの子が「先生、この本読んで」って持ってきたから(笑)
今思うと、担任として最初に読む絵本も決めていなかったなんて、とんでもない話ですね(汗)
で、その子に促されるまま読み始めたのはいいものの、下読みなしの本番!物語の展開もわからない。
それはそれはこわい どろぼうさまの おでましだ
という一文から、「これはきっと、怖い感じの絵本なんだな」と思い込み、少し声のトーンを落として、暗い感じで読み進めました。
けれど、みなしごのティファニーちゃんを連れ帰ったあたりから、「あれ?」と違和感。
三人組がみなしごたちを集めるページにきた時には、突然の出来事に感動し、声が震えてしまいました。
「先生、泣いてるの?」とクラスのこどもたち
涙をこらえて最後まで読み終えた後には、心が温まり、とても清々しい感動に包まれたのを覚えています。
今でも、一番好きな絵本は?と聞かれたら、迷わずに「すてきな三にんぐみ」を挙げます。
そのぐらい好きな絵本です。
ちなみに、「この本読んで」と持って来てくれた子。
卒園する時に、その子のお母さんが「先生が読んでくれた三人組の絵本が大好きみたいで」と言ってくれました。
あの時、この「すてきな三にんぐみ」という素晴らしい絵本に出会えたこと、出会わせてくれた子に感謝です。
物語と色のシンクロが素晴らしい!
全体的にダークな色合いの「すてきな三にんぐみ」
黒とダークブルーが紙面の大半を占めています。
その中での、不気味に美しく光る月や、脅しの道具のおおまさかり
暗い背景の中だからこそ、赤や黄色の迫力が出ています。
そして後半になると、赤い帽子に赤マントのこどもたち。
ここでは背景が明るい色に変わり、赤が可愛らしい色に見えます。
色が変わることで、物語の雰囲気も展開もガラッと変わる。本当に素晴らしいですね。
真っ赤なおおまさかりの赤
こどもたちの服の赤
同じ赤なのに、背景の色や物語の展開を変えることで、色のイメージを180度変えています。
ページをめくった途端に、ガラッと雰囲気が変わる絵本はそうそうないですよね。
そこも、この絵本のおもしろい部分かなと思っています。
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