「くまさぶろう」は、どんなお話?
凄腕の泥棒「くまさぶろう」が主人公の絵本です。最初は普通の泥棒だったくまさぶろうですが、盗みを繰り返すうちにどんどん腕を上げていきます。なんと動物園のゾウを盗めるほどの腕になったくまさぶろうですが、ある出来事をきっかけに「人の心」を盗めるようになりました。
泥棒のお話ですが、とても心温まる絵本です。
おすすめの年齢は?
文章量の多い絵本なので、集団での読み聞かせの場合は5歳ぐらいがおすすめです。年長クラスで読むと、くまさぶろうの優しさや温かさを共有できると思います。小学生でも十分楽しめる絵本です。
おうちで読む場合は、4歳頃でも楽しいと思います。色彩が柔らかいので、ゆったりした雰囲気で楽しめるといいですね。
素直な気持ちで楽しむと、「くまさぶろう」の良さを感じることができます。
人の心を盗めるようになったくまさぶろうは、転んでしまった女の子の「痛い気持ち」や、いじめられている男の子の「情けない気持ち」を盗みます。気持ちを盗まれたこどもたちは、それまでの嫌な気持ちがなくなって、ニコニコ笑顔。こどもたちの嫌な気持ちを盗んだくまさぶろうは、「痛い」「情けない」などの気持ちを感じるように。けれど、こどもたちの嬉しそうな顔を見ることで、くまさぶろうも嬉しくなる様子も描かれています。
ここで気を付けたいのが、この絵本から教訓めいたことや道徳的なことを、言葉にして、こどもに伝えない方が良いということ。
「人が嫌がることはしてはいけない」
「人のためになることをしましょう」
「相手が喜ぶと、自分も嬉しい」
など、内容が素敵な絵本だけに、出そうと思えばどんどん出てきます。
ただ、絵本を読み終わったあと、こどもたちに伝えたいことを言葉で表現することって必要かな?と個人的には疑問に思います。
絵本を読んでいる大人も、素直で純粋な心で絵本を読むことで、言葉では表現しきれない複雑な気持ちを感じると思います。その気持ちは、絵本を見ているこどもたちも同じです。
気持ちを言葉で表現することよりも、言葉では表現しきれないような、様々な気持ちを感じることが大切なのかなと思っています。
「くまさぶろう」は、そんな、”なんとも言えないけれど、温かくて心地よい気持ち”を味わうことができる絵本だと思います。
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