「クリスマスにおすすめの絵本は?」と聞かれたら、真っ先にこの絵本を答えます。
幼稚園教諭時代、クリスマスの時期には毎年必ず読んでいた絵本です。どの年齢でも楽しめるし、クリスマスに向けてのワクワク・ドキドキを味わうのに最適な1冊です。
サンタさんが近付いてくるワクワク感
男の子(主人公)が見つけた「ふしぎなはこ」は、サンタさんの様子を見ることができる箱。
その箱を開けると、サンタさんが”今”何をしているのかを見ることができます。
物語は、「男の子が何をしているか」「その時、サンタさんは何をしているか」の場面が交互に出てきます。男の子と一緒に、サンタさんが近付いてくるワクワク感を味わうことができます。
そして、「僕の街だ!」と男の子のすぐ近くまでサンタさんが近付いてきた時には、自分のことのようにドキドキしてしまいます。
昔ながらの”日本のクリスマス”がおもしろい
「クリスマス」と言えば、クリスマスツリーやイルミネーションを飾ったり、サンタ帽を被ったり、とても華やかでにぎやかな雰囲気をイメージすると思います。
けれど、この絵本の中のクリスマスは、そんな派手さはありません。むしろ、地味と言えるほど、クリスマスなのに普段通りの生活です。
そして、その「普段通りの生活の中のクリスマス」が、日本人らしいクリスマスの過ごし方なのかなと思うほどに、懐かしさがあり、心が落ち着く雰囲気を感じます。
思えば、自分がこどもの頃のクリスマスは、何か特別なことがあったかというと、そうでもないような気がします。もちろんツリーは飾ってあったし、夜ご飯にはいつもとは違うごちそうを食べてケーキも食べたけれど、日中の過ごし方や街の様子は、今よりも落ち着いていたかなと思います。
いつもと同じような日中を過ごし、いつもとは少し違う夜を楽しみ、サンタさんがプレゼントを届けてくれる深夜を待つ。
そんな楽しみ方が自分がこどもの頃のクリスマスの楽しさだったのかなと。
クリスマスを通して、改めて日本の原風景を感じさせてくれる絵本なのかなと思います。
最後に
この絵本は、もともと「こどものとも年少版」として2001年に刊行されています。その際のタイトルは「ふしぎなはこ」でした。
その後、2008年に「クリスマスのふしぎなはこ」と改題されて、ハードカバー版として刊行されました。
実はタイトルだけではなく、挿絵もわずかに変わっています。現在購入できるのは、ハードカバー版のみになりますが、興味があれば2001年版も見てみると楽しいですよ。
ちなみに僕は、ハードカバー版は持っていません。2001年版を大切に保管しています。
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