おすすめ絵本『おおきな木』—元幼稚園教諭の絵本紹介— 

おおきな木 絵本・紙芝居

ここ数年、娘の中学校で読み聞かせボランティアをしていて、今日が今年度最後の読み聞かせの日でした。

「中学生に読むのに良い本はなんだろう?」といつも迷いながら読み聞かせをしています。

散々考えた上で、今日の一冊として選んだのはシェル・シルヴァスタインの「おおきな木」

久しぶりに読んでみたら、若い頃に抱いていた印象とはまるで違う絵本だったので、紹介してみようと思います。

「おおきな木」のあらすじ

一本の木と、一人の男の子。二人はとても仲良しで、毎日一緒に過ごしていました。
けれど少年は少しずつ大人になり、木と過ごす時間が減ってしまいます。
時々やってきては、自分の欲しいものを木におねだりする少年。
それでも木は、自分にできる精一杯のことを少年にしてあげます。
りんごを全てあげたり、自分の枝を切って家を作らせてあげたり・・・。

無償の愛とは何か?

この絵本の原題は「The Giving Tree」
つまり、「与える木」なんですね。木は、少年の欲しがるものを何の見返りも求めずに与えます。
たとえ自分の姿がどうなろうと、少年が自分と遊んでくれなくても。

若い頃、この絵本を読んだ時には、少年のわがままぶりに腹が立ちました。
「木がかわいそう」という思いが強かったんだと思います。

けれど、自分が歳を重ね、子育てをした今になると、木の気持ちがよくわかるようになりました。

たとえ自分が寂しい思いをしようとも、自分の物が無くなろうとも、大切な人には幸せでいてもらいたい。
どこかで元気で幸せでいてくれれば、それだけでいいという気持ちが大きくなってきたんだと思います。

最後、歳をとった少年(老人)が切り株に腰掛けて休みます。久しぶりに読んでみたら、その場面で涙が出そうになりました。
昔は「散々好き放題やったくせに、今頃戻ってきても遅いよ!」なんて思っていたのに(笑)

旧訳版と新訳版の違い

僕が持っているのは、本田錦一郎さん訳の「旧訳版」です。こちらは絶版になっています。
2010年に、村上春樹さん訳の「新訳版」が出たことで、ちょっとニュースになりました。
現在、書店で購入できるのは新訳版のみですね。

実は、「旧訳版」と「新訳版」。日本語訳が結構変わっています。そのため、読んだときの印象もかなり変わると思います。

少年が、木の幹を切り倒して持っていった場面

旧訳版では、
「きは それでうれしかった・・・ だけど それは ほんとかな。」となっているのに対し、

新訳版では
「それで木は しあわせに・・・ なんてなれませんよね。」

に変わっています。

新訳版が出た当時は、
「そうそう!その通り!」と思っていましたが、それから10年経って読み返して見ると、旧訳版の「だけど それはほんとかな」の方がしっくりくる。「幸せかどうかは、木にしかわからないじゃん!寂しいけど、幸せなのかもしれないし!」と。

この辺りは、もう個人の考え方や好みの問題かなと思います。どちらの訳も、それぞれの良さがありますから。

ちなみに、原書の言葉に近いのは「新訳版」だと言われています。
さっきの場面も「but not really」なので。

「おおきな木」のご購入は、こちらから

シルヴァスタインの絵本

シルヴァスタインの絵本は、考えさせられる絵本が多いですね。
「ぼくを探しに」もおすすめです。

絵本紹介「ぼくを探しに」 本当に大切なものに気付かせてくれる絵本
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この記事を書いた人
さとし

二児の父。静岡在住。年間100以上の本を読みます。
趣味のDIYや読書について投稿します。
最近はダイエットにも挑戦していて、半年で10kgの減量に成功しました。

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