ホリー・ジャクソン著「自由研究には向かない殺人」の読書記録です。
ネタバレなしの記事なので、未読の方もどうぞ。
「自由研究には向かない殺人」のあらすじ
自由研究には向かない殺人
著者:ホリー・ジャクソン
出版社:東京創元社
発売日:2021/8/24
イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)”に取り組んでいた。題材は5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリ!
出典:Amazonより抜粋
魅力的な主人公ピップ
「自由研究には向かない殺人」は、ピップが主人公の三部作の第1作。このあと、「優等生は探偵に向かない」「卒業生には向かない真実」と続いていきます。
巻が進むごとに、実はどんどん不穏な重苦しい空気になってくるシリーズ。それでもこの第1作「自由研究には向かない殺人」では、ピップは明るく元気で素直なキャラクターとして描かれています。もちろんそのとおりで、だからこそ周りの人たちもピップのことが大好き。海外ミステリの有名どころの探偵、ホームズやポアロたちとは一線を画していますね。
少しずつ明らかになる真実は、ピップにとっては必ずしもすぐに受け入れられるものばかりではありません。それでもひたむきに事件と向き合っていく姿に胸を打たれます。
ミステリに対して「爽やか」という表現は似つかわしくないようにも思いますが、読後感はやはり「爽やか」と言うのがピッタリな作品です。
ネットやSNSなど、現代社会ならではの操作方法がおもしろい
ミステリにおける探偵というと、聞き込みや現場検証などアナログのものが多いですよね。そんな中でこの「自由研究には向かない殺人」の探偵は、ネットやSNSなど現代社会ならではの捜査がメインになっています。
この探偵の方法が斬新でおもしろかった!
実際にピップは、関係者のSNSから重要な手がかりとなる画像を手に入れたり、SNSを駆使した情報収集を行います。確かに、現代社会で一個人が捜査するならこれ以上効率の良い方法はないよなぁと納得できるはず。
「自由研究には向かない殺人」が気に入ったら続編もぜひ!
この三部作は、2作目、3作目のそれぞれの冒頭で前巻のネタバレがあります。必ず発行順に読んでください。
そして、できれば1〜3巻を短い期間で一気に読んでもらいたい。なぜかと言うと、作品の中の時期が3作とも非常に近いから。さらに言うと、「1作目の事件の裏で実は重大なことが起こっていて、その事実が3巻で明らかになる」というようなことがあるので、1作目、2作目の記憶が新鮮なうちに3作目を読むととてもおもしろいです。
優等生は探偵に向かない
シリーズ2作目。今回は、ポッドキャストを活用して捜査を進めていきます。冒頭で1作目の盛大なネタバレがありますので、必ず1作目のあとで読んでくださいね。
卒業生には向かない真実
シリーズ3作目。これは、かなり衝撃的でした。1作目の爽やかさはどこへやら。重く暗い内容になってくるので、そのつもりで読んでください。もちろんミステリとしては非常におもしろいのでおすすめです。
まとめ
「海外ミステリは苦手」という人も多いと思います。実は僕も翻訳物はちょっと苦手意識があります。言い回しが不自然だったり、登場人物が多かったり、文化的な背景に馴染みがなかったり。けれど、このシリーズは訳がわかりやすくて読みやすかったです。登場人物も、メインになる人はそれほど多くはないので覚えやすいと思います。
2巻、3巻で雰囲気がガラッと変わるので、読み進める時は気を付けてくださいね。
文庫本サイズのカバーがあると、読書がさらに楽しくなりますよ。
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