問16 砂場遊びの事例
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
ある保育所で5歳児クラスの男児4人は、砂場で高い山を作ろうとして、山の近くの砂をかき集める、バケツに砂を入れて渡す、バケツを受け取って砂をかけるなどしている。その様子を見て、同じクラスのP君が「僕も入れて」と言いながらやって来た。男児4人は「ねぇ、P君は仲間だったっけ?」「最初から(砂山作りに)いなかったよねぇ」などと言い始めた。仲間に入りたいP君は「僕は力持ちだからたくさん砂を運べるよ」と訴えると、男児のうち一人が「そうだ、P君は力持ちなんだよね」と認め、他の男児も「そっか、P君が入ればパワーアップだ」と答え、4人は納得してP君を砂山作りの仲間に入れることにした。
【設問】
この事例と、最も関連性の低い用語を一つ選びなさい。
- 帰属意識
- 協同性
- 自己主張
- 自他比較
- 社会的参照
正解は…5
帰属意識
「帰属意識」とは、「ある集団に属している、またはその集団の一員であるという意識や感覚」のことです。
この事例の場合、最初に砂場で遊んでいた男児4人は「この4人は砂山作りをやっている仲間」という意識で遊んでいます。そのため、途中で遊びに加わろうとしたP君を「仲間じゃない存在」として認識しています。
よって、「帰属意識」はこの事例に関連しています。
協同性
保育所保育指針解説の中で「協同性」とは、
友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。
出典:厚生労働省 保育所保育指針解説p79
と記載されています。
「高い砂山を作る」という共通の目的にむかって協力する姿が見られること、役割分担をして効率的に作業を進めようと工夫していること、力持ちのP君を加えることが自分たちの目的を実現させるには有益であると判断したことなどから、「協同性」はこの関連に関連しています。
自己主張
「自分自身の考えや得意なこと、あるいはやりたいこと(欲求)を他人に伝えること」が「自己主張」です。
この事例の場合は、P君が「僕は力持ちだからたくさん砂を運べるよ」と砂場で遊んでいる4人に自己主張しています。
よって、「自己主張」はこの事例に関連しています。
自他比較
「自他比較」とは、言葉のとおり「自分と他人を比較すること」です。
この事例では、P君が自分のことを「力持ち」と訴えた時に、一人の男児が「そうだ、P君は力持ちなんだよね」と認めています。実際にP君が力持ちかどうかはわかりませんが、この男児は「自分と比較した場合、P君の方が力持ち」と判断したと考えられます。
よって、「自他比較」はこの事例に関連しています。
社会的参照
「社会的参照」とは、「初めて出会う場面や、赤ちゃんが自分だけの経験や知識では判断に迷う様な場面で、周りの大人の表情や態度を見て自分の行動を決めること」を言います。
よって、この事例との関連性は低いです。
問17 生態学システム論
次の文は、ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner,U.)の生態学的システム論に関する記述である。A~Dの記述に該当する用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 子どもが直接所属している家庭、保育所、幼稚園などをいう。
- 子どもが属している家庭と保育所の関係、あるいは家庭と地域の関係などをいう。
- 親の職業や社会福祉サービスなどをいう。
- 日本文化や制度、法律、宗教などをいう。
【語群】
- クロノシステム
- メゾシステム
- マクロシステム
- マイクロシステム
- エクソシステム
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | オ | ウ |
2 | イ | ア | エ | オ |
3 | イ | オ | ウ | ア |
4 | エ | イ | オ | ウ |
5 | エ | ウ | ア | イ |
正解は…4
生態学システム論
ロシア生まれの発達心理学者ブロンフェンブレンナーは、人を取り巻く環境を以下の4つに分類しました。
- 【マイクロシステム】
- 人に直接関係する最小限の要素
- 【メゾシステム】
- 複数の要素間の関係
- 【エクソシステム】
- 直接関係しないが、影響を与えるもの
- 【マクロシステム】
- 社会や文化
クロノシステムとは、上記4つに、のちに追加された5つ目のシステムです。
時間経過の中で個人に影響を及ぼす出来事や環境変化のことを指します。
よって、正解は4です。
問18 高齢者の生活
次の【図】は、「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」(内閣府)における、「別居している子供を持つ高齢者が、別居している子供と会ったり、電話等で連絡をとったりしている頻度」について示したものである。以下の【設問】に答えなさい。
【図】
【設問】
次のA~Dのうち、【図】を説明する文として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 各国の「全体」では、「ほとんど毎日」と「週に1回以上」を合わせた割合は、アメリカ、ドイツ、スウェーデンでは6割を超えるが、日本はおおよそ5割である。
- 各国の「全体」では、日本、ドイツ、スウェーデンでは「週に1回以上」の割合が最も高く、次いで日本とスウェーデンでは「月に1~2回」の割合が高くなっている。
- 「男性」に着目すると、日本とドイツの男性は、「ほとんど毎日」と「週に1回以上」を合わせた割合が5割を下回っている。
- 性別で比較すると、4か国とも「ほとんど毎日」の割合は男性より女性で高く、特にアメリカとドイツでは女性の割合が男性よりも 10%以上高い。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | × | × |
2 | ○ | × | ○ | × |
3 | ○ | × | × | ○ |
4 | × | ○ | ○ | ○ |
5 | × | ○ | × | ○ |
正解は…3
問19 選択性緘黙症
次のA~Dのうち、選択性緘黙症に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 特定の場所(例えば保育所)で話すことが困難な選択性緘黙症の子どもでも、時にその保育所でよく話す時期がある。
- 選択性緘黙症の子どもの多くは、学業上の問題や対人コミュニケーション上の問題を持っていない。
- 選択性緘黙症の子どもは、ほとんどいつも他の不安症(例えば社交恐怖)をも有する。
- 選択性緘黙症の発症は、通常5歳未満である。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | × | ○ |
2 | ○ | ○ | × | × |
3 | ○ | × | ○ | ○ |
4 | × | × | ○ | ○ |
5 | × | × | × | ○ |
正解は…4
選択性緘黙(場面緘黙症)とは
選択性緘黙症とは、話す能力はあるのに「ある特定の場所や場面で話さない」症状のことをいいます。
発症は、5歳未満の幼少期がほとんどです。
小さな声では話す、首を振って意思表示をする、特定の人とは話すなど、その子によって症状もさまざまです。中には、食事やトイレができない子もいます。
対人的コミュニケーションの妨げになるだけではなく、授業中に指名されても答えられないなど学業上の問題にもなってきます。
問20 精神医学的問題について
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
ある26歳の保護者から保育士に次のような相談があった。「数か月前のある日、会社に遅刻した際に上司から注意を受けたが、それ以来たびたび息苦しさを感じるようになった。会社だけでなく、家でも、通勤途中の電車の中でも急に呼吸ができないような感じに襲われ、これがあまりにも度重なるため、『いつかまた突然同じ症状が出現するのではないか』と考えるだけで不安でたまらない。」
【設問】
この事例で最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。
- 統合失調症
- 自閉スペクトラム症
- うつ病
- パニック障害
- 疼痛性障害
正解は…4
パニック障害について
パニック障害の三大症状は、
- 「パニック発作」
- 突然理由もなしに強い不安と共に動悸や発汗、手足の震えといった症状が起きる
- 「予期不安」
- またパニック発作が起こるのではないかと不安になる
- 「回避行動」
- 発作が起こりそうな場所や状況を避ける
よって、正解は4です。
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