今回は、2023年1月の読書記録とおすすめ本の紹介です。
読みやすい作品が多く、先月より多く読むことができました。まぁ、冊数にはあまりこだわっていないんですが、それよりも素晴らしい作品にたくさん出会うことができたことが嬉しいです。
ベスト3を決めるのに、こんなに迷ったのは初めてです。
★★★★★★…まさに別格。この本と出会えてよかった!
★★★★★…すごい!何度も読み返したい1冊
★★★★☆…おもしろい!これはよかった!
★★★☆☆…うん、よかった。
★★☆☆☆…ちょっと、自分には合わなかったかな。
★☆☆☆☆…ごめんなさい。途中で挫折しました。
こんな感じの6段階で星を付けています。
本の評価をしているわけではなく、あくまでも個人の好みとお考えください。
2023年1月のおすすめベスト3
1『海と毒薬』遠藤周作
★★★★★(星5)
「圧倒的」という表現がふさわしい作品。ページ数も文量も多くないけど、その中でテーマを明確に浮かび上がらせる文章。読了後にもう一度冒頭部分を読むと、初読時に感じた違和感が不気味さに変わる仕掛け。
日本人とは?罪の意識とは?この作品を読んだあと、もしも自分が勝呂医師と同じ状況・立場になったらと思うとゾッとします。
(2023年1月6日 読了)
2『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー
★★★★★(星5)
乗客全員が容疑者、そして全員が何かを隠している。一つ一つの可能性を検証し、論理的に真実に近付いていく推理。
犯行時刻、アリバイ、物的証拠、動機、ミステリとしての緊迫感を味わいながら読み進めることができました。そして、まさかの結末。ポアロ、かっこいいなと思いました。いろいろと考えさせられるラストですね。
ポアロシリーズ、もっと読みたいと思います。
(2023年1月15日 読了)
3『わたしの美しい庭』凪良ゆう
★★★★☆(星4)
決して劇的な何かが起こるわけではない、感動的な出来事が起こるわけでもない。それでもなぜか涙が出てくる。読み終わったあと、じんわりと心から温かくなる、そんな物語。
凪良さんの作品は、この「わたしの美しい庭」が初読みでした。柔らかい文章、優しい登場人物、読んでいて心地よい作品でした。「流浪の月」「汝、星の如く」も読んでみたいと思いました。
(2023年1月7日 読了)
2023年1月に読んだ本
『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』
★★★☆☆(星3)
ADHDやASDと診断するまでには至らない「グレーゾーン」。原因や各障害の傾向、そして効果的な関わり方やトレーニングに至るまで丁寧に解説されています。近年増えている発達障害について理解を深めるためにはおすすめの一冊。
(2023年1月3日 読了)
『他人の顔』安部公房
★★★☆☆(星3)
数ページずつ読み進め、ようやく読了。一ヶ月ぐらいかかったかも。かなり難解でした。
ほぼ全編通して主人公の手記形式で進むのですが、なんというか、その手記がすごい。頭の中のこと全て、思考の全てが描かれているような。なので、話はほとんど進まない、けど思考はどんどん変わっていく。「あれ?結局いま何考えてたの?」みたいなことがたびたびありました。
文章は難解だけど、その中での言葉の使い方、表現の多様さはすごいと思いました。ゆっくり焦らずに他作品も挑戦してみたい作家です。
(2023年1月3日 読了)
『ぼぎわんが、来る』澤村伊智
★★☆☆☆(星2)
ぼぎわんは確かに怖い。だけど、全体的な印象として、人が一番怖いと思ってしまった一冊です。確かにホラーですが、背筋がザワザワする感じではないかな。けっこう派手な場面もあり、「怖い」とはあまり感じませんでした。文章は読みやすくサクサク読み進められます。
(2023年1月5日 読了)
『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー
★★★★☆(星4)
ほんの些細なことも見逃さず、論理的に真相を導き出していくポアロの凄さが際立っていますね。
解決編の鮮やかさが気持ち良い。以前「ABC殺人事件」を読んだ時は、ポアロのことはあんまり好きになれませんでしたが、慣れてくるととても魅力的な探偵ですね。
(2023年1月9日 読了)
『13階段』高野和明
★★★★☆(星4)
全編通しての緊迫感、読み進める楽しさを存分に味わうことができました。
序盤から重要なヒントがそこかしこに配置されていて、真相がわかった時も納得。死刑制度、被害者遺族の生活、出所後の現実など、扱っているテーマは重く、考えさせられることも多いですが、だからこその読み応えと読んでよかったと思える満足感でした。
(2023年1月11日 読了)
『木曜日にはココアを』青山美智子
★★★★☆(星4)
一つ一つの短編はかなり短く、サクッと読めます。それもあって、最初はちょっと物足りなく感じていたけど、読み進めていくとそのテンポの良さが心地よく感じました。
日本の小さなカフェから始まった物語が、いつの間にかシドニーに行き、また日本に戻ってくる。人とのつながりの温かさ、小さな奇跡に感動します。いつでも手元に置いて、何度も読み返したくなる作品です。
(2023年1月13日 読了)
『星を掬う』町田そのこ
★★★★☆(星4)
母に捨てられた娘、母を捨てた娘、被虐待児、未成年の母、暗く辛い描写も多々ありますが、その中で少しずつ前向きになろうとする人たち。「星を掬う」というタイトルの意味に涙しました。
「52ヘルツのクジラたち」がよかったので、こちらを読んでみました。辛い描写もありますが、現実の世界でも起こり得ることだと考えると、登場人物たちが力強く生きていく姿を応援したくなります。
(2023年1月19日 読了)
『九度目の十八歳を迎えた君と』浅倉秋成
★★☆☆☆(星2)
十八歳を繰り返す元同級生、過去の回想の中に潜む伏線、青春の甘酸っぱく苦しくもある思い出。分類としてはミステリなんだろうけど、SF要素もあります。
「六人の嘘つきな大学生」「教室が一人になるまで」など、若者が内に秘めている葛藤や劣等感、ままならない鬱屈した気持ちを表現するのがうまいですね。それぞれ小さな秘密を抱えているから謎が生まれる。それを解放するための、主人公の謎解き。
ただ今回は、現実感があまり感じられなかったのが、個人的にはいまいちなポイントだったように思います。
設定や物語はおもしろいので、伏線回収、特殊設定ミステリなどが好きな人にはハマるのではないでしょうか。
(2023年1月22日 読了)
『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子
★★★★☆(星4)
「木曜日にはココアを」の続編。とは言っても、今回はマスターがつなぐ縁がメインなので前作を読んでいなくても楽しめます。
温かく優しい物語。穏やかな時間を過ごしたい時におすすめの一冊です。
(2023年1月28日 読了)
『セカンド・ラブ』乾くるみ
★★☆☆☆(星2)
「イニシエーションラブ」の乾くるみさんが描くラブミステリー。かなり期待して読み進めたのですが、ちょっと自分には合わなかったかなと思いました。いろいろ感想を書くとネタバレになってしまうのが難しいところですが、とにかくある人物が気の毒でならない。イヤミスと呼ばれているものが苦手なんだなと実感しました。
まとめ
今月はおもしろい作品、おすすめしたい作品がいくつもあって、ベスト3を選ぶのにかなり迷いました。また、ミステリ以外のジャンルも読むように意識しました。初めて読む作家さん、読んだことのないジャンル、読書の幅を広げるのは楽しいですね。
最近、こちらの布しおりの作り方の記事がよく読まれているようです。ありがとうございます!
2022年12月の読書記録は、こちら
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