問11 エリクソンの発達理論
次のA~Dのうち、エリクソン(Erikson, E.H.)の発達理論に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 生涯は8つの段階に区分され、各段階はその時期に達成されるべき発達課題をもち、それを乗り越えることにより次の段階に進むという過程をたどる。
- 学童期から青年期にあたる第4段階と第5段階では、「自主性 対 罪悪感」、「同一性 対 同一性の混乱」の危機がある。
- 青年期はアイデンティティを模索する時期であり、モラトリアムの時期としている。
- アイデンティティとは、自己の連続性と斉一性についての感覚であり、「自分とは何か」についての答えである。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | × | × |
2 | ○ | × | ○ | ○ |
3 | ○ | × | ○ | × |
4 | × | ○ | ○ | ○ |
5 | × | ○ | × | ○ |
正解は…2
エリクソンの発達段階説
エリクソンの発達段階説は、障害発達の観点から社会的な側面を重視した発達理論です。それぞれの発達段階に発達課題があり、それが達成できない場合には心理的学的な危機の状態になるとしています。
選択肢のうち、A、C、Dは正しい記述です。
Bは誤りです。第4段階にあたる児童期は「勤勉性 対 劣等感」です。「自主性 対 罪悪感」は、第3段階の幼児期後期の発達課題です。
エリクソンの発達段階については、以下の記事で詳しく解説しています。
問12 幼児と周囲の大人との関係
次のA~Dのうち、幼児と周囲の大人との関係に関する記述として、「保育所保育指針」に照らして考えた場合、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 保育所の生活において地域の人たちと積極的に関わる体験をもつことは、人と関わる力を育てる上で大切である。
- 子どもが地域の人々との交流を通して、人間は一人だけで孤立して生きているのではなく、周囲の人たちと支え合って生きていることを実感することが大切である。
- 近年は、家庭においても地域においても人間関係が希薄化し、子どもたちの人と関わる力が弱まってきている。
- 保育士は、親や祖父母などの家族のことを話題にすることで、子どもが家族の愛情に気付き、家族を大切にしようとする気持ちをもつように働きかけることが必要である。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | ○ | ○ | ○ | × |
3 | × | ○ | ○ | ○ |
4 | × | × | × | ○ |
5 | × | × | × | × |
正解は…1
「人間関係」
A〜Dはすべて正しい記述です。
「保育所保育指針」の「3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」の(2)ねらい及び内容「イ 人間関係」の内容を適切に記述しています。
問13 子育てを取り巻く社会的状況
次のA~Dのうち、子育てを取り巻く社会的状況に関する記述として、適切な組み合わせを一つ選びなさい。
- 「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」(令和元年 厚生労働省)において、保育所等待機児童数の状況を年齢別にみると0歳児の利用率が上昇傾向にあり、待機児童数は特に0歳児に多い。
- 「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」(平成28年内閣府)によると、子育てと親の介護を同時に担うダブルケアを行う者は30歳~40歳代が多く、男女ともにダブルケアを行う者全体の約8割を占める。
- ひとり親家庭になる原因の一つである離婚に関して、「平成29年(2017)人口動態統計の年間推計」(厚生労働省)によると、日本の年間婚姻件数と離婚件数の割合は、ほぼ4:1である。
- 「統計が語る平成のあゆみ」(平成31年 総務省)および「平成30年版男女共同参画白書概要」(平成30年 内閣府)によると、女性の社会進出に伴い、女性の労働力人口比率のM字型曲線は少しずつ緩やかになり、共働き世帯は増加している。
1 | A | B |
---|---|---|
2 | A | C |
3 | B | C |
4 | B | D |
5 | C | D |
正解は…4
待機児童について
「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」によると、0歳児の利用率は減少傾向にあります。また、待機児童数が多いのは1・2歳児です。
よって、Aは誤りです。
「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」について
育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書のポイント(内閣府)によると、
ダブルケアを行う者は,30歳~40歳代が多く,男女ともに全体の約8割である。
出典:育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書のポイント(内閣府)
とのことです。
よって、Bは○です。
日本の年間婚姻件数と離婚件数について
「平成29年(2017)人口動態統計の年間推計」(厚生労働省)によると、平成29年の婚姻件数は60万7000組、離婚件数は21万2000組。
割合にすると、婚姻件数:離婚件数=3:1なので、Cは誤りです。
女性の社会進出
「平成30年版男女共同参画白書概要」(平成30年 内閣府)によると、
昭和55年以降、夫婦共に雇用者の共働き世帯は年々増加し、平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っている
出典:平成30年版男女共同参画白書概要(内閣府)
とのことです。
よって、Dは○です。
問14 子育て支援について
次のA~Dのうち、子育て支援に関する記述として、「保育所保育指針」に照らして適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 保護者に対する子育て支援を適切に行うためには、自らの役割や専門性の範囲を踏まえると同時に、関係機関の役割や機能を理解して、各機関との連携を意識することが重要である。
- 「受容」とは、保護者の不適切な態度や要求を応諾することである。
- 人見知りや自己主張など、一見否定的に見える子どもの姿にも発達的意義があることを保護者に伝えることで、保護者の子ども理解が深まり、子どもへの関わりの質の向上につながる。
- 保護者の子育てを自ら実践する力を向上させるために、保育士は一定の水準を定め、すべての保護者をその水準に押し上げるよう支援することが求められる。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | ○ | × |
2 | ○ | ○ | × | ○ |
3 | ○ | × | ○ | × |
4 | × | × | ○ | ○ |
5 | × | × | × | ○ |
正解は…3
子育て支援について
子育て支援については、保育所保育指針「第4章 子育て支援」に記述されています。
A,Cの記述は○です。
Bの「受容」とは、ありのままの姿を受け入れることを言います。不適切な態度や要求を受け入れることではありません。
よって、Bは誤りです。
Dの記述のように、一定の水準を定めるのではなく、一人一人の保護者の実情や考えを受け入れ、それぞれに配慮した適切な援助をすることが大切です。
よって、Dは誤りです。
問15 いざこざについて
次のA~Dのうち、幼児期の子ども同士で生じる「いざこざ」に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- 幼児期の子どもは、相手の思いや意図を理解したり、同じイメージやルールの理解を共有したり、自分の情動をコントロールするといったことがまだ十分には身についていないため、いざこざが生じることが多い。
- 幼児期のいざこざには、たまたま相手の身体が触れて、自分の作っていた積み木が崩れてしまうなど、偶発的な理由から生じるものはない。
- いざこざに対する方略として、自分の権利を主張したり、交渉したり、保育士に「○○ちゃんがとった」と訴え、権威のある者に解決を依存することもある。
- 3歳後半頃になると、いざこざの体験を重ねることを通して人間関係が深まり、友達や周囲の人の気持ちに触れて、相手の気持ちに共感したり、相手の視点から自分の行動を振り返ったりして、考えながら行動する姿がみられるようになる。
A | B | C | D | |
1 | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | ○ | ○ | × | ○ |
3 | ○ | × | ○ | × |
4 | × | × | × | ○ |
5 | × | × | × | × |
正解は…3
子ども同士のいざこざについて
子ども同士のいざこざについては、「保育所保育指針解説」第2章「保育の内容」の3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」のイ「人間関係」に詳しく解説されています。
その解説の中で、選択肢AとCは適切な記述だということがわかります。
選択肢Bについては、幼児期のいざこざに関しては、偶発的な理由によって生じるものは多いです。ある統計によると、男児では「不快な働きかけ」、女児では「偶発」が多いとのことです。
選択肢Dの記述は、4〜5歳ぐらいからできるようになります。
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