保育士試験【社会福祉(令和3年前期)】過去問解説①

保育士試験
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問1 ソーシャル・インクルージョンについて

次の文のうち、ソーシャル・インクルージョンに関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • ソーシャル・インクルージョンは、バリアフリーの概念に代わって、アメリカの工学研究者ロナルド・メイス(Ronald Mace)によって示された概念である。
  • ソーシャル・インクルージョンは、WHO 憲章における「健康」の定義の中で、「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」と記述されている。
  • ソーシャル・インクルージョンは、ノーマライゼーション思想とも共通し、社会福祉の理念として用いられる場合、すべての人がそれぞれの違いを尊重され、社会の一員として認められ、人権を保障されることも意味することが多い。
  • ソーシャル・インクルージョンは、抑圧され、本来持ちうる力が潜在化している状態に置かれている人々が、本来持っている力を発揮できるような機会を作り、その力を発揮できるよう支援することをいう。
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正解は…4

ソーシャル・インクルージョンとは

インクルージョンとは、日本語にすると包摂(ほうせつ)。全体をまとめる、包み込むという意味になります。
つまりソーシャル・インクルージョンとは、社会的包摂つまり、社会全体を包み込むこと。誰も排除されず、全員が社会に参画する機会をもつことを意味します
社会的に排除されやすい人々を、地域社会の中で支え合いながら暮らしていこうとする考え方ですね。

ロナルド・メイス博士(アメリカ)

1980年代に「ユニバーサルデザイン」という言葉を作り、障害をもつ人々を擁護したことで有名です。
ユニバーサルデザインとは、「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする」という考え方です。日本では1990年代頃から知られるようになりました。

健康の定義

問題文Bの「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」は、WHO憲章の中の「健康」の定義そのものになります。
1947年に採択されたWHO憲章では、前文において「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」と定義されています。

ノーマライゼーションとは

障害者が健常者と同様に社会の一員としてさまざまな分野において社会参加できること、障害の有無にかかわらず、すべての人がノーマルな生活を送ることができる社会を目指す考え方です。
バリアフリー、ユニバーサルデザインなどは、このノーマライゼーションの概念が具現化されたものですね。

問2 社会保障制度について

次の文は、1950(昭和25)年の社会保障制度審議会(現、社会保障審議会)の勧告に基づいて、日本における社会保障と社会福祉の位置づけを説明したものである。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

社会保障制度とは、疾病や障害、老齢や失業などの困窮の原因に対し、( A )または公の負担で経済保障を行う。また、生活困窮に陥った者に対しては( B )によって最低限度の生活を保障する。加えて、( C )によって子どもへの保育や障害者等への福祉サービスを提供し、公衆衛生とともに、すべての国民が文化的社会の成員としての生活を営むことができるようにする。

保険的方法 国家扶助 社会福祉
保険的方法 地域保健 社会福祉
保険的方法 社会福祉 地域保健
社会福祉 保険的方法 地域保健
社会福祉 国家扶助 保険的方法


正解は…1

社会保障制度とは?

社会保障制度とは、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネット。
社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4つからなり、人々の生活を生涯にわたって支えるもの。

生活保護制度

生活に困窮する国民に対して、最低限度の生活を保障し自立を助けようとする制度。
「公的扶助」の一つなので、(B)に入るのは「国家扶助」

社会福祉について

高齢者・障がい者等が安心して社会生活を営むことができるように様々なサービスを提供する「社会福祉」、
児童の健全育成や子育てを支援する「児童福祉」などは、社会保障制度の「社会福祉」の中に位置付けられています。
よって、(C)に入るのは「社会福祉」

問3 社会福祉法成立前後の出来事

次の文のうち、2000(平成 12)年の「社会福祉法」の成立前後に関連する社会福祉体制の見直しに関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • 保育所および母子生活支援施設の措置制度が廃止された。
  • 介護保険制度が導入された。
  • 子どもの権利の明確化、社会的養護の大幅見直しを含む「社会的養育ビジョン」が示された。
  • 社会福祉の供給主体が、地方公共団体、社会福祉法人中心から、特定非営利活動法人や企業など民間へも拡大することが進められた。
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正解は…3

措置制度から利用契約制度へ

従来の社会福祉サービスでは、受給要件を行政が判断しサービスを提供する「措置制度」が多く採用されていました。
しかし、利用者の意思が尊重されにくいという側面もあるため、利用者がサービス提供者との契約に基づいてサービスを利用する「利用契約制度」への以降が進んでいます。
保育所入所については1997(平成9)年、母子生活支援施設は2001(平成13)年の児童福祉法改正に伴い、それぞれ措置制度が廃止されました。

介護保険制度について

2000年(平成12)年に施行。以降、ほぼ3年ごとに法改正や報酬改定が行われてきました。
2012年(平成24)年には、改正介護保険法が施行されています。

社会的養育ビジョンとは

子どもが権利の主体であること、家庭養育優先の理念等が規定された2016(平成28)年の児童福祉法改正。
「社会的養育ビジョン」は、この改正法の理念を具体化するためにとりまとめられたもの。
2017(平成29)年に公表されました。したがって、選択肢Cは×。

社会福祉事業法から社会福祉法へ

2000(平成12)年、社会福祉事業法が社会福祉法に改正されたことにより、社会福祉の供給主体が民間へも拡大しました。

問4 要保護児童、要支援児童について

次の文のうち、要保護児童、要支援児童に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • 「児童福祉法」第6条の3第8項によれば、要保護児童とは「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当と認められる児童」とされている。
  • 「児童福祉法」第6条の3第5項によれば、要支援児童とは「保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童」とされている。
  • 「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成 30 年2月1日現在)」(厚生労働省)によれば、乳児院の入所理由は、保護者の死亡や行方不明によるものよりも、虐待によるものが多い。
  • 要保護児童、要支援児童へのかかわりは、乳児院、児童養護施設等で行われるので、保育所では行わない。
  •  

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    正解は…1

    要保護児童とは

    保護者がいない児童、または保護者に監護させることが不適当と認められる児童のことを言います。
    親が離婚・行方不明、親から虐待を受けているなどの場合や、非行や情緒障害を有する児童などがこれにあたります。

    要支援児童とは

    児童福祉法で、保護者による養育を支援することが特に必要と認められる、要保護児童にはあたらない児童のことを言います。
    親が育児不安を抱えていたり、養育に関する知識が不十分な場合などがこれにあたります。

    問5 社会福祉における権利擁護について

    次の文のうち、社会福祉における権利擁護に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

    • すべての児童福祉施設においては、サービスの質の向上に向けて、福祉サービス第三者評価事業が義務付けられている。
    • 「被措置児童等虐待届出等制度」において、保育所、認定こども園はその対象とならない。
    • 成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類がある。
    • 社会福祉事業の経営者に対して「苦情解決責任者」「苦情受け付け担当者」「第三者委員」の設置が求められ、適切な苦情解決に努めなければならないとされている。
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    正解は…4

    福祉サービス第三者評価事業とは

    専門的な知識をもつ第三者機関が、客観的な基準に基づいて福祉サービスの質の評価を行い、その結果を公表し、利用者に情報を提供するものです。
    社会的養護関係施設(乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設)は、第三者評価を3年に1回以上受けることが義務付けられています。
    すべての児童福祉施設ではないので、Aは誤りです。

    被措置児童等虐待届出等制度について

    施設等で児童が虐待を受けた場合、児童本人の届出や周囲からの通告により、都道府県や市が調査や対応をする制度です。
    平成21年に厚生労働省より「被措置児童等虐待対応ガイドライン」が出ています。

    このガイドライン内で、対象とされている施設は、以下のとおりです。
    ・小規模住居型児童養育事業者
    ・里親
    ・乳児院
    ・児童養護施設
    ・知的障害児施設等(知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由
    児施設、重症心身障害児施設
    ・情緒障害児短期治療施設、
    ・児童自立支援施設
    ・指定医療機関
    ・一時保護所

    保育所と認定こども園は含まれていないので、Bは正しい文になります。

    成年後見制度とは

    障害や認知症などにより、判断能力が不十分と判断された人が、不利益を被らないよう支援する制度のことです。
    成年後見制度は、以下の2つに分類できます。

    法定後見制度 任意後見制度
    家庭裁判所に後見人を選任してもらう。 本人が後見人を指名し、契約する。

    本人が元気で、判断能力がある場合には任意後見制度を選択することができます。
    配偶者や子供、孫などが後見人の選任を申し立てる場合には、法定後見制度を利用することになります。

    苦情解決について

    2000(平成12)年の社会福祉法改正に伴い、利用者の利益を保護し権利を擁護することを目的に苦情解決の仕組みが義務付けられました。
    苦情解決の体制として、
    苦情解決責任者
    苦情受付担当者
    第三者委員
    を設置する必要があります。

    苦情解決の手順としては、
    1.利用者への周知
    2.苦情の受付
    3.苦情受付の報告・確認
    4.苦情解決に向けての話し合い
    5.苦情解決の記録、報告
    6.解決結果の公表
    です。

    これらは、厚労省からの通知「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針」で示されています。

    保育士試験【社会福祉(令和3年前期)】過去問解説②
    保育士試験(令和3年前期)社会福祉の過去問と解説です。このページは問6〜10です。母子及び父子並びに寡婦福祉法について、生活保護制度について、障害児の福祉サービスについて、社会福祉の相談員について、民生委員について解説しています。

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