片付けが変わると、保育が変わる!
「片付け」 保育や育児をする上で、避けては通れない場面ですよね。
と同時に、大人にとってはストレスにもなり得る時間です(笑)
「もうお片付けの時間だよ」「お片付けして、お散歩に行くよー」とこどもたちに伝えても、遊び始めたばかりだったり、ちょうど盛り上がってきたところだったり、作っているものがもう少しで完成するところだったり、なかなか片付け始めない子もいますよね。
そうすると、「片付けなさい!」とついイライラしてしまうこともあるのではないでしょうか?
僕も、幼稚園教諭時代には片付けの時間が嫌いだったことがありました。
こっちの子の片付けを促していると、あっちで別の子が遊び始めて、「このいたちごっこは永遠に終わらないのではないか…」と途方にくれたこともありました(笑)
そこで今回は、片付けについて、僕が個人的に考えたことを記事としてまとめたいと思います。
「片付ける」って、どういうこと?具体的な言葉にしてみよう!
保育をする中で、個人的にはかなりこだわっていた部分なのですが、「片付け」という言葉をできるだけ使わないようにしていました。
どういうことかと言うと、その子にとっての「片付ける」をさらに具体的な言葉で伝えていたんです。
大人であれば、「片付けて」と言われれば、ある程度何をしたらいいのかはわかります。本を読んでいたのであれば、その本を本棚に戻す。料理をしていたのであれば、調理道具を洗って乾かす。など
じゃあ、こどもの場合はどうなのか?
保育者が考えている「片付け」と、その子が考えている「片付け」
その二つの「片付け」にギャップがあるから、保育における片付けが大変になるのではないのか?と考えたんです。
それなら、「今、先生が言っている片付けっていうのは、こういうことだよ」と言葉にすれば、保育者とこどもの片付けが共通認識になって、こどもも何をどこまですればおしまいなのかがわかるよね!ということです。
具体的には、
砂場で遊んでいる子には「お砂場の道具を洗って、カゴに入れてね」。
絵本を読んでいる子には、「絵本をおしまいにして、絵本の棚に戻してね」。
鬼ごっこをしている子には、「鬼ごっこをおしまいにして、お部屋に戻ろうね」。
こんな感じで、一人一人、あるいは一つ一つの遊びの場に、次の行動を促していくようにしていました。
不思議なもので、何をしてほしいかを言葉にすることで、自分自身もどこまでやったら片付けが完了なのかがわかって、見通しがもてました。
見通しがもてると、焦ることもイライラすることもなくなり、それまでよりも穏やかに片付けている子たちを見ることができたように感じます。
この「片付けるという言葉は、できるだけ使わない」ことは、幼稚園教諭を辞めるまで、10年以上続いたこだわりでした。
「今、片付けないといけないの?」こどもたちが、今どんな状況なのか考えてみよう
片付けという言葉を使わなくなったことで、より見えてきたことがあります。
それが、「今、この子たちの遊びは、どんな状況なのか?」ということです。
砂場で遊んでいて、大きな川を掘っている子がいたとします。そろそろ片付けたいなという時間になったとき、その子たちにも片付けの声をかけようと考えますよね。
「片付け」という言葉を使わない保育をしていると、まずどんな声かけをしようかと状況をしっかり捉える習慣がつきます。
「道具を使っているのか」「裸足で遊んでいるのか」「着替えが必要なのか」と様々な視点からこどもたちを見ようとします。
すると、今の遊びの状況がよくわかるようになります。例えば、「もう少しで大きな川が完成しそうなんだな」とか「この子が、砂場で裸足になっているのは珍しいな」とか「道具はそれほど使ってないから、意外と片付けの時間は短くて済みそうだな」などです。
それらが見えてくると、こどもたちの遊びの様子に合わせて片付けの時間を調整できるようになり、遊びの区切りで片付けへ促すこともできるようになります。
片付けを促す前に、一度立ち止まって、遊びの状況を把握することが、スムーズな片付けへの移行には大事だと思います。「今すぐに片付け始めることが、この子たちにとって大切なことなのか?」という視点をもてる保育者になりたいですね。
「片付けなくもいい」ぐらいの懐の深さは必要!?
せっかくなので、最後に、超個人的な考えを書きたいと思います。
この記事の始めで、片付けの時間が嫌いだった時があると言いましたが、それは若い頃の話です。中堅と呼ばれる年齢になった頃には、反対に片付けの時間が好きになっていました(笑)
それは、「こどもたちの遊びを大切にするためなら、無理して片付ける必要はない」と心のどこかで思っていたからです。
だからと言って、もちろん使ったものをそのままにしていたわけではありませんよ(汗)
これは、極端な話で、実際は使ったものは元に戻していたし、きちんと保育室を綺麗にしてからお弁当にしていました。
ただ、こどもたちの遊びはずっと続いていきます。それが、大人の都合、保育の都合で区切りをつけなければいけないと考えた時に、その大人の都合が終わった後で、また遊びの続きが始まるのではないか。いや、そうであってほしい。こどもたちには、そのぐらいの情熱をもって、遊んでほしいと常々思っていました。
だからこそ、片付ける時には「先生、これ残しといてもいい?」というこどもたちの声を待っていたし、「残しておくのもアリ」という暗黙のルールのようなものが広まっていく雰囲気を作っていました。
こどもたちの遊びが続いていくためなら、「片付けないのもOK」。そういう保育をしていくことで、こどもたちは安心して、夢中になって遊ぶことができるのではないでしょうか。
「片付けなくてもOK」の子たちには、「じゃあ、その代わり他の場所をきれいにするの、手伝ってね」という条件を付けていましたけどね(笑)
まとめ
1 「片付ける」をより具体的な言葉で伝えてみよう
2 「今すぐに片付け始めることが、この子たちにとって大切なことなのか?」という視点を持とう
3 「片付けなくてもOK」という保育のやり方もある
保育についての考えは、いろいろです。今回の記事に関しても、一つの考え方として読んでいただけたら幸いです。
ぜひ、保育者にとっても、こどもにとっても無理のない、楽しい保育を!
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